こんにちは、donutです。
早くも7月に突入したものの、連日ジメジメした気候が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか。さて今回は、SNSやネットニュースで大きな話題を集めたTwitterでのAPI規制について
調べていきたいと思います。
なお、TwitterAPIについては過去に有償化について触れた記事もありますので、
あわせて読んでみてください。
<参考>
◆TwitterAPIとは?有償化による影響とTwitterの今後について
突如始まったTwitterAPI規制
去る7月1日の23時頃、「API呼び出しの回数制限を超えました」というエラーメッセージと共に
Twitterでタイムラインやトレンドワードなどが読み込めないという事象が発生しました。
Webブラウザ版、スマホアプリ版、その他サードパーティー製アプリ(TweetDeckなど)で
読み込みや閲覧ができない状態に陥り、ユーザーの間で大きな騒ぎとなりました。
イーロン・マスク氏が発信した当時のツイートでは、このように記載されていました。
To address extreme levels of data scraping & system manipulation, we’ve applied the following temporary limits:
— Elon Musk (@elonmusk) July 1, 2023
- Verified accounts are limited to reading 6000 posts/day
- Unverified accounts to 600 posts/day
- New unverified accounts to 300/day
・サブスクリプション「Twitter Blue」を購入している認証アカウントは、
1日あたり6000件の投稿を閲覧できるように制限
・未認証のアカウントは1日あたり600件まで
・新しい未認証のアカウントは1日あたり300件まで
つまり、一般ユーザーは1日600件までしかタイムラインを閲覧・読み込めない状態に
制限されてしまったのです。600件というと多く感じるかもしれませんが、災害や事件が発生した際に
情報収集を行っているとあっという間に上限値に達してしまうため、最新情報を取得することが
難しくなってしまいます。
この事象により、一般ユーザーのみならず、Twitter上で広報活動を行っている多数の
企業アカウントも同様の被害に見舞われ、「欲しい情報が必要なときに取得できない」
「適切なタイミングでフォローしているユーザー(顧客)へ周知を行うことができない」事態に
陥ってしまったのです。
関連事象として、TVアニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」の公式Twitterアカウントにおいて、
7月2日の最終回放送に合わせて感想をつぶやいたり、抽選グッズのプレゼント応募条件の
一つでもあるハッシュタグを活用したツイートを推奨していました。
しかし、TwitterのAPI制限開始と最終回の放送が運悪く重なってしまい、
「API制限で感想が呟けない」「皆で盛り上がりを共有できない」「プレゼント応募ができない」
といった声が複数散見され、思わぬ場面で宣伝活動に影響が出てしまう事例もありました。
そんな状況下でも関連ツイート数は約72万ツイートを記録したそうです。さすがの強さですね...
<参考>
◆水星の魔女がTwitterに足を引っ張られながらも約72万ツイートの大記録達成
TwitterAPI規制、その理由は?
そもそもTwitter社はなぜ今回のような規制を行ったのでしょうか。主な理由として
「極端なレベルのデータスクレイピングとシステム操作への対処」があります。
スクレイピングは、「データを収集した上で利用しやすく加工すること」を意味します。
英語の「Scraping(こすり・ひっかき)」に由来し、ツールやプログラムを使って機械的に
Webサイトを読み込み、情報を取得します。これを行うことで、データ活用準備に係る手間や
時間を省略することができます。
しかし、Webサイト上でスクレイピングを行うと、APIを利用した情報取得よりもサーバーに
大きな負荷がかかってしまいます。取得先のサイトへ負荷を与えることは偽計業務妨害罪にあたる
可能性もあるため、利用規約でもこの行為を禁止しているサイトがほとんどです。
Now to 10k, 1k & 0.5k
— Elon Musk (@elonmusk) July 1, 2023
その後、閲覧制限を緩和した旨をマスク氏が投稿し、7月2日午前7時頃の段階では
以下の状況となっていました。
・「Twitter Blue」を購入している認証アカウント:1日あたり1万件
・未認証のアカウント:1日あたり1000件まで
・新しい未認証のアカウント:1日あたり500件まで
こうしてTwitterの閲覧制限は段階的に緩和され、現時点ではAPI規制に関する呟きはあまり
散見されず、落ち着きを取り戻しつつあります。
しかし、一連の騒動の影響により、Twitterに不信感を募らせたユーザーがThreads(スレッズ)や
Misskey(ミスキー)、Bluesky(ブルースカイ)など、他のSNSサービスへ移行を行うユーザーが
続出しました。
(なお、Blueskyについては登録者が殺到し、サーバーの負荷が大きくなった影響で現在も
新規ユーザー登録ができない状況となっています)
そして、7月6日にTwitter社の法人営業ページ「Twitter Business」において、
ツイートの読み込み回数が制限される「Rate Limit」について新たな声明がありました。
<参考>
◆Twitter Rate Limitsに関するアップデート
ここで新たに公開された内容は下記になります。
・Twitter上に存在する無数のスパムやボットを除去するため
・Twitterの利用を一時的に制限し、プラットフォームに被害を及ぼすボットや
その他の悪質行為を行うユーザーを検出、排除を実施した
制限理由については、前述したマスク氏からの説明とほぼ同じ内容でした
また、ユーザーへの事前通知がなかった理由として、「事前通知を行うことで、ボットや
スクレイピングを行う悪質なユーザーが対策を講じてしまう可能性があるため」と説明しています。
つまり、「抜き打ち」で行う必要があったということです。
様々な場面で大きな影響を及ぼした今回のTwitterAPI規制ですが、
悪質な行為を行うユーザーへの対処はもちろん、Twitterを利用する多くのユーザーが
ストレスなく情報収集を行ったり、交流を楽しめるような体制を整えてほしいと願うばかりです。
なお、今回挙げた新たなSNSサービス(Threads、Misskey、Bluesky)については後日改めて調査し、
こちらのブログでご紹介できればと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。