ご相談・お問い合わせ
2 分で読むことができます

プロ野球を支えるAIとは?WBCで活用された技術についてもご紹介

執筆者 donut 更新日時 2023年3月30日

こんにちは、donutです。

3月から日本とアメリカで熱戦が繰り広げられたWBCは14年ぶりに侍ジャパンの
優勝で終わりました。私個人としては久々に試合をTV観戦しましたが、
「事実は小説よりも奇なり」のようなプレーを見せつけられ、目が離せない1ヵ月を過ごしました。
またこのメンバーで2026年のWBCを見てみたいな...と願うばかりです笑

そこで今回は、日本のプロ野球界でも導入が進められているデジタル技術(AI・人工知能)について
調べてみたいと思います。

Fastmotion(ファストモーション)とは?

福岡ソフトバンクホークスでは、AIや人工知能、IoTなどの技術を積極的に導入し、
試合や練習において様々なデータ分析を行っています。
そんな球団をサポートしているのが、ライブリッツ株式会社が提供する
「Fastmotion(ファストモーション)」というAIトラッキングシステムです。

「Fastmotion」は、ソフトバンクホークスの本拠地でもあるPayPayドームに
設置された専用のカメラで試合を撮影、その映像をデータ化した上で分析を行っています。
各ポジション(ピッチャー、バッター、キャッチャーなど)についた選手が守備を行う位置を
データ保存することで、試合中に各選手がどんな動きをしていたのかを随時データ化していきます。
「Fastmotion」の導入により、日本球界では初めて「守備」や「走塁」の分析を成功させました。
データとして可視化されていれば、選手や指導者を含めてより具体的に自分たちの課題を
把握できるようになるため、「目標の明確化」という大きなメリットがあります。

<参考>
Fastmotion V3(ライブリッツ株式会社HPより)

投球や打球の軌道が分かる?トラックマンについて

WBCにおいて、日本代表は デンマークに本社を置くTRACKMAN社の弾道計測機器
「トラックマン」を使用しました。
主にゴルフで活用されているものでしたが、近年ではプロ野球界でも積極的に導入されています。

トラックマンでは、投球と打球のボールの軌道や回転率、球の速度を正確に追うことができます。
投球と打球のデータを解析することで、得点を抑える投球はもちろん、得点につながる打球について
詳細な研究が可能となり、選手のコンディション調整や戦略で大いに役立てられました。

元々ミサイルを追尾する軍事用のレーダーとして開発されたものでしたが、この技術を応用し、
専用のレーダーを使用して投手が投げたボールの動きを追尾・解析するため、転用されました。

<参考>
トラックマン(TRACKMAN社HPより)

選手のコンディションを管理してくれる?「Deep Nine」

「Deep Nine(ディープナイン)」は、株式会社電通を筆頭に、東京大学松尾研究室発の
AIスタートアップとして創業された株式会社ACES、株式会社GAORA、株式会社共同通信
デジタルカメラが共同で開発したAIアプリケーションです。
最先端の技術を利用し、カメラで撮影した動画や画像から選手の身体情報を分析します。

これまでは、モーションキャプチャーを使用しての分析がメインでした。
「Deep Nine」は、動画や試合映像も使用して、選手の姿勢など身体的な動きの分析を
可能にしています。また、球団名は明かされていませんが、既にNPB球団へ導入されており、
試合におけるデータの蓄積に役立っています。

さらに、「Deep Nine」にはこんなメリットもあります。

 ◎選手の能力強化
  →選手の調子が良い時と悪い時の場合で身体動作の差分を
   明確化できるため、分析結果を練習やコーチングで活用できます。

 ◎ケガの予防
  →選手がケガをした前後で身体の違いを分析し、疲労の蓄積によって
   生じる微細な体の動きの変化を捉えることができます。
   また、選手自身がパフォーマンスが落ちているなと感じた時に、
   保存された身体データを確認することで、それまでの動作の違いを把握し、
   トレーニング内容を調整するといった対策も可能です。

 ◎故障時のリハビリへの展開
  →選手が負傷などで長期離脱した後に復帰した場合、故障箇所の
   筋力の衰えなどからケガをする前後の動作に差分が生じる恐れがあります。
   これをデータとして分析することで、再発予防はもちろん、
   リハビリ時の強化プランに役立てることができます。

 ◎選手の特徴を把握
  →チームの主軸を担う選手たちがどのような育成過程を踏んでいたのか、
   といった内容をデータとして蓄積することで、若手や新たに入団した選手の
   身体動作のモデルケースにもなります。
   例として、「10年に1人の逸材」と呼ばれるようなレベルの選手を、
   データの力で育成できる時代の到来も期待できるでしょう。


 <参考>
 ◆電通、東大松尾研発のAIスタートアップACES、GAORA、共同通信デジタルと共に
  野球における姿勢推定AIアプリケーション「Deep Nine」を開発(電通公式HPより)

 

今回はプロ球界で導入されているAI技術についてご紹介いたしました。

日々のニュースでも取り上げられていますが、ジャンルを問わずAIの技術は現在も進化を
続けています。球界の方でも、今後新たなサービスやAIアプリケーションが登場する
可能性もあるでしょう。

そして、AIがプロ野球界でもっと広く活用されるようになれば、アマチュア球界への展開は
もちろん、競技人口の増加や技術レベル向上に繋げられることも期待できるかもしれませんね。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

donut

執筆者 donut

生まれも育ちも新潟県新潟市。ビッグデータを基盤としたINSIGHT LABのビジョンや新潟の活性化事業に惹かれ、入社。趣味はカフェ巡りとゲーム、水族館にも行きたいです。

 

こちらの記事もおすすめです

2 分で読むことができます。

Twitterアカウントロック! ~解除までの道のり~

3 分で読むことができます。

ワールドカップを支えるテクノロジーとは?IMUとVAR技術について

3 分で読むことができます。

【DBpedia探索2】新潟県にある新幹線の駅を調べてみる