こんにちは、donutです。
気が付けば10月も終盤となりました。早いものですね...
朝晩の冷え込みも多くなりつつあるので寒暖差や体調管理には気を付けたいところです。
今回は、各種SNSや企業で話題となっている生成AIについて触れてみたいと思います。
生成AIとAIの違いについて
生成AIとAI、いずれもよく聞くようになったワードであり、どのような違いがあるのか?について
考えることもあるのではないでしょうか。調べてみたところ、以下の差分がありました。
◎AI(人口知能)
人間の知能を模倣した技術やシステムの総称です。これには、問題解決、学習、推論、認識などの能力が含まれます。AIは、大きく分けて「狭いAI(特定のタスクに特化したもの)」と「一般AI(人間と同様の知能を持つもの)」に分類されますが、主に使用されているのは「狭いAI」です。
※映画やドラマ、アニメで聞くAIはこちらがイメージされやすい印象です...
◎生成AI(Generative AI)
テキスト、画像、音声などの新しいコンテンツを生成するための人工知能技術
(AIの一種)です。
例として、文章を書く、絵を描く、音楽を作るといったタスクを自動化できます。
この技術は機械学習の一つであり、特に大規模なデータセットを使ってトレーニング
することが一般的です。
生成AIの応用として、クリエイティブな作品の生成や自動応答システム、データ分析があり、最近ではChatGPTやCopilotのような対話型AIや、画像生成ツールも話題です。
AI(人工知能)は、「学習済みのデータから適切な答えを検索し、提示してくれる」ものに対し、
生成AIは、「オリジナルを生み出す力」に特化したAIであることが分かります。
生成AIの種類
生成AIには、それぞれ異なるタイプのコンテンツを生成するために設計されています。
主な種類としては以下があります。
◎テキスト生成
自然言語処理を使って文章を生成します。ブログ記事やストーリー、会話の自動生成等で使用されています。
(例)ChatGPT、GPTシリーズなど◎画像生成
画像を生成するためのAIであり、テキストから画像を生成したり、スタイル転送を
行うことができます。
(例)DALL-E、Midjourneyなど
◎音楽生成
音楽を作曲するAIであり、ジャンルやスタイルに合わせて楽曲を生成します。
(例)OpenAIのMuseNet、Jukedeck、Suno AI◎ビデオ生成
動画コンテンツを生成するためのAIであり、特定のシナリオやストーリーに基づいて
動画を作成することができます。
(例)Runway Gen-2など
◎3Dモデリング
3Dオブジェクトや環境を生成するAIであり、ゲームや映画制作等で利用されています。
◎データ生成
シミュレーションやテストのために、人工的にデータセットを生成します。
機械学習のトレーニングに役立ちます。
各タイプに適した方法を選択・活用することで、人間が行っていた作業を大幅に削減できたり、
効率化を含め、思いがけないアイデアをAIから手に入れることもできるようになります。
企業での生成AI活用事例
各企業では、生成AIを活用して様々なコンテンツ制作や問い合わせ対応等を行っています。
一例としては以下があります。
◎コンテンツ制作
メディアや企業が生成AIを利用して記事やブログポストの自動作成を行うことで、
短時間で多くのコンテンツを生成することができる。
◎マーケティング
生成AIを使用してユーザーに合わせた広告やキャッチフレーズを自動で生成し、
マーケティング活動を効率化する。
◎カスタマーサポート
チャットボットなどを活用し、顧客からの問い合わせに対して迅速かつ適切に
回答することで、カスタマーサポートを向上することができる。
企業での活用事例
トヨタシステムズと富士通では、トヨタグループの基幹システムのアップデート作業に
富士通が開発した生成AIサービスである「Fujitsu Kozuchi Generative AI」を活用し、
実証実験で作業時間の削減に成功しています。
JavaやSQLJ等で開発された約1万5000ファイルを対象に、システムへの影響が予想される
非互換箇所を生成AIが抽出してプログラムを修正しました。その結果、正確に修正されていることが確認でき、人力での作業と比較して約50%作業時間の削減を実現できました。
この生成AIサービスについては、2025年1月から実業務で運用開始予定であり、トヨタグループでも
大幅な業務効率化が期待されています。
<参考>
◆トヨタシステムズと富士通、基幹システムのアップデート作業に生成AIを活用し、
作業時間の50%削減を実現(富士通より)
株式会社静岡銀行、Snowflake合同会社、株式会社ブレインパッドの3社では、2024年10月から
静岡銀行における営業活動の効率化を目的とした「生成AIチャットボット」の開発に着手しました。
静岡銀行の取り組みは、営業活動情報といった顧客データを含むことから、インターネット環境から切り離した閉域環境内で生成AIを構築できるよう、Snowflakeの生成AIサービスである
「Snowflake Cortex」を採用しています。また、静岡銀行が2023年1月から導入中の
データ分析・活用プラットフォーム「S-hare(エスハレ)」でもSnowflakeの機能を活用しており、
「生成AIチャットボット」の開発を通じて、データの保存/抽出/生成AI活用までを一貫して同一
サービスで行うことで、安全な設計運用が期待されています。
<参考>
◆3社連携で営業活動の高度化・効率化をめざす「生成AIチャットボット」の開発に着手
(Snowflakeより)
◆Snowflake Cortex(Snowflakeより)
生成AIの課題とリスクについて
非常に便利な生成AIではありますが、発展途上な部分もあり、様々なリスクに配慮しながら
利用する必要があります。主なリスクとしては、以下が懸念されています。
◎情報の真偽性
生成AIは、信頼性のない情報や誤った事実を生成する場合もあります。
特に、ニュースや情報の生成において、誤解を招く内容が広まるリスクが
懸念されています。
◎著作権や知的財産問題
生成AIが作成したコンテンツが既存の著作物に類似していた場合、著作権侵害の
問題が生じることがあります。
◎プライバシーの懸念
生成AIが個人データを処理する場合、プライバシーの侵害やデータ漏洩のリスクが伴います。
◎倫理的な問題
生成AIを使って偽の情報やディープフェイクを作成することができ、悪意のある用途
(詐欺や誹謗中傷など)に利用されるリスクがあります。
◎サイバー攻撃への悪用の可能性
生成AIが利用されることで、よりリアルで説得力のあるフィッシングメールが
生成されたり、マルウェアや攻撃ツールの開発が容易になると、攻撃者がより効果的な
手段を持つことになるため、サイバー攻撃に悪用されてしまうリスクもあります。
※過去に生成AIを悪用してランサムウェアを作成したとして逮捕される事案も報告されています。
<参考>
◆生成AIでランサムウェアを作成した容疑者の摘発事例を考察(トレンドマイクロ社より)
今回は、生成AIについてご紹介しました。
生成AIは便利なツールではありますが、世界に公開されてからあまり年月が経過していない
技術でもあるため、情報の真偽やサイバー攻撃への悪用など、様々なリスクがあることも事実です。
生成AIを正しく理解することで、日々の業務や生活において安全に利用できるようにしていきたいところです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。