デジタル田園都市国家構想とは
おはこんばんちわ!
さっそく本題に入りますが、「デジタル田園都市国家構想」という言葉を聞いたことはありますか?
これはデジタル化によって地域社会の課題を解決しながら魅力を向上させることを目的として、政府が主導している取り組みです。
現在、地方は少子化や高齢化によって、人手不足や財源不足など、様々な課題に直面しています。
それらをデジタルの活用によって解決していく取り組みが始まっています。
今回はその事例のひとつとして、2022年5月23日に開催された「デジタル立国ジャパン・フォーラム」で紹介されていた群馬県前橋市の取り組みをご紹介したいと思います。
今回の記事は以下のような方におススメです!
◆「デジタル田園都市国家構想」がどんなイメージなのか知りたい方
◆ 地方のデジタル化について取り組み事例を知りたい方
前橋市の取り組み事例 『まえばしID』とは
前橋市ではスマートフォン上で利用できる住民IDである「まえばしID」の創設を目指し、構築事業のプロジェクトが進行しています。
これを読まれた方には「マイナンバーと何が違うの?」「アプリで会員登録するときによく発行されるIDと同じもの?」といった疑問が出てくる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「まえばしID」とマイナンバー、そして民間サービスで発行されるIDとは大きな違いがあります。
それは
・法的な根拠を持ち、モバイルで利用可能な電子証明書である
という点です。
「まえばしID」はマイナンバーカードで本人確認を行った上で電子証明法で認定を受けた認証局から発行される電子証明書を用いる仕組みになっています。
つまり民間サービスで提供されるIDと比較して、成りすましや改ざんをすることが非常に難しいデジタルIDであるということです。
話題が変わりますが、行政や金融などは法律に関与する領域についてはデジタル化が進みにくい領域と言われています。
それがなぜかというと、法律が絡む領域であるため規制が厳しく、法的に根拠をもったデジタルIDを作り、業務フローを構築することが難しいためです。
マイナンバーカードは2021年10月からやっと保険証として利用できる制度がスタートしましたが、カードリーダーが必要ということもあり、現状では活用できる機会が限定的です。
それに対して「まえばしID」は法的な規制をクリアし、なおかつモバイルで使えることから、様々な領域での活用が期待されているのです。
また、個人的には
・前橋市民じゃなくても発行OK
という点がユニークだなと思いました。
現在前橋に住所がなくても、出身地が前橋市である、もしくは前橋市で勤務している、という人など、前橋市に関わりのある人たちは「まえばし e-市民」としてIDの発行を可能にする構想とのこと。
そこには前橋に関わるすべての人たちの意向を街づくりに活かしていきたいという思いがあるそうです。市政にその人たちの声を反映することで、住んでいるだけでは気づけない視点で地方を活性化することができるかもしれません。
デジタル化を活用して助け合える地域社会に
私はもともと地方出身なのですが、都市部で生活していると利便性がとても高い一方で、地元との人とのつながりを感じることはほとんどありません。
地元にいると、その地域にいる人たちのコミュニティの中で生活しているのだなということが、都市で暮らすことで改めてよくわかりました。
地方には地方の、都市には都市の、メリットとデメリットがありますよね。
前橋市のスマートシティ構想では、利便性があるのはもちろんのこと、地方コミュニティの助け合いの精神を兼ね備えた「共助型」の未来都市を目指しており、「まえばしID」はその基盤となるシステムなのだそうです。
つまり都市部のメリットと、地域社会のメリットの両方をいいとこどりした社会、というイメージでしょうか。
例えば視覚障害の人が介助を必要としている場合、介助のボランティアができる方を探せるようににするなど、「まえばしID」で市民同士がつながるプラットフォームの構築を進めています。
前橋市の新しい取り組み、現実までにはさまざまなハードルがありそうですが、日本の地域社会にとって希望の光となるようなモデルケースになること願いながら、これからの展開に注目していきたいと思います!
※参考資料
1.デジタル田園都市国家構想実現会議 群馬県前橋市提出資料:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/dai4/siryou1.pdf
2. Digi田(デジデン)甲子園 群馬県の取り組み アイデア部門 めぶくEYE:視覚障がい者歩行サポートシステム:
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/chiiki/gunma.html