ご相談・お問い合わせ
4 分で読むことができます

BYODのメリット/デメリット

執筆者 sauce 更新日時 2024年11月07日

Topics: DX BYOD

こんにちは!sauceです。

今回はBYODについてです。実はインサイトラボでも過去に取り入れたことがあり、私も利用経験があるのですが、本記事では中小企業の話題と絡めながらBYODとは何ぞやというお話から始めてみたいと思います。

 

BYODとは

BYOD(Bring Your Own Device)は、PCスマホなど個人所有端末を業務に利用することを指します。

スマートフォンの普及を背景に世界中に浸透した制度ですが、他国と比べると日本の導入率は低い状況にあります。

 参考:『情報通信白書平成30年版』総務省

国内の普及状況について見てみると、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が中小企業を対象に行った実態調査からは、調査対象の36.5%がBYODを導入しており、従業員規模が小さくなるほど導入率は高まる傾向が見られます。

引用:『2021年度中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査ー調査報告書ー』独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)

 

DX推進とBYOD

企業内DXやデジタル化を進める際に、ペーパーレスや作業効率化のためにクラウドサービスの導入を検討されるケースが多くあります。Zoomや、Gmail等のGoogle Workspaceなど、現在は目的に応じた様々なクラウドサービスが世界中で提供されており、業務デジタル化に無くてはならない存在です。

ただ、こうしたクラウドツールの導入にあたっては、ネットワークに接続する環境が、社内で整備されているかがポイントの一つです。

デスクワーク中心の業種であれば1人に1PCやスマホが会社支給されるケースが多いように思いますが、業務内容にPC操作等が直接関係しない業種や職種の従業員に対しては支給されない傾向にあります。

少し前のデータにはなりますが、民間企業のエヌエヌ生命さんが2022年に公表した中小企業経営の実態把握調査の中で、IT通信機器の導入状況に関する内容がありました。

全国の中小企業経営者7,229名を対象に、「PC」「スマートフォン」「タブレット」の支給状況について調査を行ったところ、PCの全社員支給は3割との結果になっています。

また従業員全員への支給率が最も高いのは、PC(34.9%)となり、一方で、PCを全く支給していないと回答した中小企業経営者が43.0%いることが明らかになりました。

こ 自 身 の 経 営 す る 会 社 に て 、 以 下 の 機 器 を 会 社 か ら 従 業 員 に ど れ く ら い の 割 合 て 
支 給 し て い ま す か ( n = 乙 229 、 SA) 
100 ( % ) 
PC 
ス マ - ト フ ォ ン 
タ フ レ ッ ト 端 末 
80 
43.0 
60.1 
5 .5 
20 
34.9 
23.0 
16.1 
16.9 
40 
22.1 
部 支 給 
60 
78.4 
・ 100 % ( 全 員 に 支 給 ) 
・ 支 給 し て い な い (0%)

引用:エヌエヌ生命

こうしたPCやスマホ等のIT通信機器の社内普及率が低い企業がDXやデジタル化を推進する際、BYODは低コストかつ迅速に取り組みをスタートさせるための選択肢の一つとなります。

 

BYODのメリット/デメリット

当然のことながら良い面ばかりではなく、企業側と従業員側の双方にメリット/デメリットが存在しますので、一般的に言われる内容を下表にまとめてみました。

 

メリット

デメリット

企業側

端末代金がかからない

・端末貸与時や機種変更時のサポートやトレーニングが不要

・端末管理や故障時対応等の管理部門業務が不要

・多様な働き方に対応できる

・労働時間増加や労務管理が複雑化する可能性がある

・通信費関連の会計が複雑化する

紛失/盗難/情報漏えいなどのセキュリティリスクが増える

・従業員退職時等の、業務データの持ち出しリスクが高まる

・シャドーITの完全な防止ができない

・紛失盗難による個人情報が漏えいした場合、会社責任が問われる可能性がある

従業員側

使い慣れた私物端末を使えるので、新たに使い方を覚える必要が無い

・好みの端末やOSで業務ができる

・端末を複数台持たなくて済む(紛失リスクを低減できる)

・いつでもどこでも業務ができる

仕事とプライベートの区別が曖昧になり、労働時間の長時間化に繋がりかねない

・通信費が自己負担となる可能性がある

・セキュリティリスクの責任を負わされる可能性がある

 

BYOD導入の検討において、何より重要なことは従業員からBYODに対する理解が得られるかどうかだと言われています。

従業員側にもメリットがあるとはいえ、これまでなかったリスクを負担させられるとなれば不安を感じる方が多いことは容易に想像できます。そうした不安感を企業側が真摯に受け止め、通信費負担や社内WiFi環境の整備、BYODを利用する業務範囲や利用時間を明確化する等の社内ルール拡充により、どこまで従業員の不安を払拭できるかがBYOD導入検討における重要なポイントとなります。

 

BYODとシャドーIT

最後に、企業側デメリットに出てきた「シャドーIT」についても触れていきます。

シャドーITは、企業の許可なく従業員が個人端末やクラウドツールを業務に利用することを指します。BYODとは異なり、企業側で利用状況の把握やコントロールができず、企業の管理外で情報漏えいやウイルス感染といったセキュリティリスクにさらされることが懸念されます。

BYODが適切に管理されればシャドーITのリスクを減少させる手段として有効だとする説もあります。しかし、それとは逆に、社内ルール等が整備されず管理不十分なままBYODを導入するとシャドーITを助長しかねないとの指摘もあります。

シャドーITを従業員側の問題行動と捉えることに間違いはありません。しかしながら、従業員のニーズと企業が提供する業務環境のミスマッチが「シャドーIT」という形で表れていると捉えると、従業員ニーズや自社を取り巻く環境変化を汲み取らず、時代に即した業務環境を整備できなかった企業側にも責任の一端があるのではないかと考えてしまいます。

シャドーITに見られるような従業員ニーズと企業側のミスマッチをどう解消するか、また企業内DXやデジタル化推進でポイントとなる従業員のネットワーク環境への接続を企業としてどう担保するのか。これらの課題に対して、従来の会社支給方式と比較してどちらが正解ということはありませんが、選択肢の一つとしてBYODというものもありますよという今回のお話でした。

最後まで読んでいただきたありがとうございました!

sauce

執筆者 sauce

新潟県長岡市の栃尾生まれ。文系学部を卒業し金融関係を経てINSIGHT LABに入社。持ち前のコミュニケーションをいかしながら、ゼロからエンジニアになろうと日々挑戦。趣味は、北欧雑貨と睡眠。寝ることが好きです・・・新潟出身ですが、お酒はあまり好きじゃないです・・・はい。

 

こちらの記事もおすすめです

3 分で読むことができます。

【DBpedia探索2】新潟県にある新幹線の駅を調べてみる

2 分で読むことができます。

Twitterアカウントロック! ~解除までの道のり~

2 分で読むことができます。

プロ野球を支えるAIとは?WBCで活用された技術についてもご紹介