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こんにちは、donutです。

梅雨入りしたかと思えばあっという間に新潟でも気温が上昇し、再び暑い日々がやって来るのか...と
若干怯えながらもキーボードを叩いています。

そんな今回は、全国の高校で導入され始めている「DXハイスクール」について解説したいと思います。

 

DXハイスクールとは

「DXハイスクール」は、文部科学省が推進する「高等学校DX加速化推進事業」の通称であり、
全国の高等学校におけるデジタル人材育成を強化するための取り組みです。

<参考>※文部科学省より
令和7年度 高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)

この事業は、大学教育で進んでいるデジタルや理数分野への学部転換に対応し、
高校段階でのデジタル面での成長分野を支える人材育成を強化することを目的としています。
この取り組みによって、採択された高校からデジタル関連分野の学部・学科への進学者の増加も
期待されています。

採択される高等学校の基準と主な内容

対象となるのは、公立・私立の高等学校であり、交付申請を行った全国の公立・私立高校から、
採択基準を元にした得点の上位の高校より採択校が決定します。
また、補助金は1校あたり最大1,000万円(新規採択校の場合)、2年目以降の継続校には
500万円が支給されます。

なお、2025年度は1,191校(公立871校、私立320校) が採択されました。
(このうち、新潟県内の高校の採択校は21校でした)

DXハイスクールの取り組み

主に以下のような取り組みを支援しています。

情報や数学を重視するカリキュラムの実施
 →「情報Ⅱ」の授業を必修または選択で導入したり、数学Ⅲや理数探究科目の拡充、
   AI、プログラミング、データサイエンス等の基礎を学ぶ内容を導入し、
   デジタル技術の基礎を高校の段階で習得します。

ICTやデジタルを活用した文理横断的・探究的な学びの実施
 →ICTを活用した授業や課外活動を通じて、探究的な学びを強化します。
  (例)
  ・複数教科を横断した「STEAM教育(科学・技術・工学・芸術・数学)」の導入
  ・タブレットやクラウドツールを活用し、生徒が主体的に課題解決に挑む
   授業の実施
  ・デジタルものづくりラボ(3Dプリンタなど)による探究活動

地域・大学・企業との連携
 →地元の企業や大学と連携し、リアルな課題を元にした学習に取り組みます。
  ・オンライン講義や出張授業による最先端知識の導入
  ・インターンやフィールドワーク型学習を通じたキャリア教育など

情報・数学等を重視した学科への転換やコースの設置
 →普通科に文理横断的な学びができるコースを設置したり、「理数探究」などの
  新学科設置を予定している高校もあります。

教員のスキルアップおよび指導体制の強化
 →外部の専門家(大学・企業)を招いての指導支援や、教員研修や共同研究、
  教材開発のサポートなど、校内外での「学びのネットワーク」形成を促進します。

また、支援内容には以下のような設備や経費も含まれています。

①ハイスペックPC、3Dプリンタ、動画・画像編集ソフト等のICT機器の整備
②遠隔授業用を含む通信機器の整備
③理数教育設備の整備
④専門高校の高度な実習設備整備
⑤専門人材派遣等業務委託費

 

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)との違いについて

「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」は、文部科学省が指定する高等学校等の制度で、
将来の科学技術分野で活躍できる人材を育成することを目的としています。
SSHに指定された学校では、専門的な理数系教育を通じて、生徒の科学的な探究能力や創造性を
培う取り組みが行われています 。

<参考>※文部科学省より
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)

SSHでは、理数教育に関する高度な研究を行ったり、大学や専門機関と連携するなど、
最先端のカリキュラムで国の科学技術分野を深めることができます。
一方、DXハイスクールでは、社会やビジネスにおけるデジタル分野に重点を置いており、
未来の仕事に向けて学ぶことができます。

◎DXハイスクール
 ・ 社会やビジネスの現場で活躍する「デジタルに強い人材」を育てる高校。
 ・ 情報、ICT教育を軸に「未来の仕事力」に直結。

◎SSH
 ・理系の知的好奇心を研究につなげる「研究者・科学者の卵」を育てる高校。
 ・理数探究や研究活動を通じて、学術・研究分野の素養を育成。

 

DXハイスクールのメリット・デメリット

DXハイスクールの取り組みが進められる一方で、様々な課題も存在しています。

メリット

 

①デジタル人材育成の加速化につながる
 →高校の段階から情報・数学教育を強化し、AI・IT・データ分析に強い人材を
  育てることで、将来的な大学進学や就職において競争力のあるスキルを
  身につけることもできます。

②ICTを活用した先進的な学びに触れることが可能
 →タブレット端末やクラウドツールの活用、3Dプリンタやプログラミング
  ツール等の導入により、実践的に学ぶことができます。
  また、自分で考え、課題を探し、解決策を構想する探究的な力も養われます。

③地域や企業・大学との連携による新たな学び
 →地元の企業や大学との共同プロジェクトや出張授業などを通じて、
  社会に存在する課題とリンクしたリアルな学びを得ることができます。

④学校の特色化・差別化
 →DXハイスクールへの取り組みによって学校に個性が生まれ、進学先として
  アピール要素となり、地域外からも生徒を集めやすくなることが期待されます。

デメリット

①教員の指導力・専門知識の不足
 →情報ⅡやAI・プログラミングを教えられる教員が全国的にも少ないことから、
  既存の教員が新分野に即座に対応することは負担が大きくなるリスクもあります。

②設備導入後の活用不足の懸念
 →ICT機器(PCや3Dプリンタなど)を導入しても、それらを使いこなす体制が
  整わなければ、活用不足になってしまう可能性も考えられます。

③地域や学校間の格差が広がる可能性
 →都市部と地方との間で、DX推進のスピードや質に差が生まれやすいことも。

④生徒の情報リテラシーや学力格差の問題
 →デジタルツールに触れる時間が長くなる一方で、基本的な学力や
  モラル・マナーの指導が追いつかない可能性も想定されます。

⑤一部では「形式だけ」の改革になってしまう懸念も
 →表面的なICT活用や探究活動のみにとどまってしまい、教育の本質的な変化に
  つながらない例も出てしまう懸念もあります。

 



今回はDXハイスクールについてご紹介しました。

デジタルに興味がある生徒やそうでない生徒でも、スキルを引き出すための教育内容や、環境整備と
いった様々な課題がある一方で、各高校で行われている取り組みにも期待や関心を呼んでいます。

そして、DXハイスクールによって、昨今のデジタル人材不足の解消の一助になるのか。
未来を担う高校生たちが、地域と社会の変革を牽引する存在となる日もそう遠くはないかも
しれませんね。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

donut

執筆者 donut

生まれも育ちも新潟県新潟市。ビッグデータを基盤としたINSIGHT LABのビジョンや新潟の活性化事業に惹かれ、入社。趣味はカフェ巡りとゲーム、水族館にも行きたいです。

 

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