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AI時代だからこそ重要視される「問いを立てる力」と磨き方

執筆者 rice 更新日時 2026年5月27日

こんにちは、riceです。

皆さんは普段、AIに質問をするとき「どう聞けばいいんだろう?」と悩んだ経験はありませんか?

ChatGPTなどの生成AIは、私たちが投げかけた質問に対して驚くほど自然な回答を返してくれます。しかしその回答の質は「どんな問いを立てたか」に大きく左右されます。

今回は、AI時代においてなぜ「問いを立てる力」が重要なのか、国際機関の見解や教育の動向も交えながらご紹介します。

 

「答える力」から「問う力」へ

AIは膨大なデータをもとに瞬時に文章を生成したり、複雑な計算を処理したり、大量の情報を要約したりすることができます。答えを出すということにおいて、AIはとても優秀です。

では、人間にしかできないことは何でしょうか。

それは、「そもそも何を問うべきか」を考えることではないでしょうか。AIは質問には答えられますが「本当の課題は何か」「今、何を問うべきか」を自ら見つけ出すことはできません。課題に気づき、問いを組み立てていく力は、今のところ人間に求められる役割です。

こうして考えてみると、AI時代においては「答える力」だけでなく、「問う力」の重要性がますます高まっているのかもしれません。


「問いの質」がAIの出力を決める

生成AIを活用していると「問いの質がそのまま回答の質を左右する」と実感する場面がよくあります。

たとえばAIに「マーケティングについて教えて」と聞くのと、「従業員30人規模のIT企業が、限られた予算で新規顧客を獲得するためのマーケティング戦略を3つ提案して」と聞くのでは、返ってくる回答の具体性や実用性がまるで違います。

前者のような曖昧な問いでは、AIが意図を推測しながら回答することになり、的外れな回答やハルシネーション(AIがもっともらしい嘘を出力する現象)を招きやすくなります。一方、目的や条件が明確な問いは、AIの能力を最大限に引き出すことができます。

つまり、AIを効果的に活用するためには以下の3つのステップが重要になります。

1. 問いをつくる:何が本当の課題かを考え、目的と条件を明確にする
2. AIを使いこなす:適切な指示(プロンプト)で、質の高い回答を引き出す
3. 判断し意味づける:AIの回答を批判的に検証し、最終的な意思決定を人間が行う


このうち特に1と3は、現時点では人間が中心となって担う役割です。そして、その最初のステップとなるのが「良い問いを立てる」ことなのです。

 

国際機関が注目する「問いを立てる力」

問いを立てる力の重要性は個人の実感だけでなく、国際的な機関からも提言されています。


<OECD:ラーニング・コンパス2030>

OECD(経済協力開発機構)は、これからの時代に必要な力を示す枠組みとして「OECDラーニング・コンパス2030(学びの羅針盤)」を提唱しています。

この枠組みの中心に据えられているのが「エージェンシー(主体性)」という概念です。エージェンシーとは、与えられた指示に従うだけでなく、自ら目的を設定し、責任を持って行動する力のことを指します。

さらに、OECDは「変革をもたらすコンピテンシー(能力)」として以下の3つを挙げています。

  • 新しい価値を創造する力:既存の枠にとらわれず新しいアイデアや価値を生み出す

  • 対立やジレンマに対処する力:多様な視点から複雑な問題と向き合い、調整する

  • 責任ある行動をとる力:自らの行動が社会や環境に与える影響を考え、行動する


これらはすべて「自ら問いを立て、考え、行動する」という姿勢が土台になっています。OECDが重視するAARサイクル(見通し→行動→振り返り)においても、「なぜこれをするのか?」「より良い方法はないか?」と問いを持つことが、学びを深めるための中心的な役割を果たすとされています。


<世界経済フォーラム:Future of Jobs Report 2025>

世界経済フォーラム(WEF)が発表した「仕事の未来レポート2025」では、企業が従業員に求める最重要スキルとして「分析的思考(Analytical Thinking)」が3期連続で第1位に選ばれています。

分析的思考とは、物事を整理しながら構造的に捉え、本質的な問いを導き出す力のことです。AIが大量のデータを処理できる時代だからこそ、人間には「何を分析すべきか」「その結果をどう解釈すべきか」を問う力が求められているのです。


日本の教育現場でも注目される「問いを立てる力」

こうした国際的な流れを受けて、日本の教育政策にも変化が見られます。

文部科学省は2024年12月に『初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)』を公表しました。このガイドラインでは、AIを「人間の能力を補助・拡張し、可能性を広げるための有用なツール」と位置づけています。

特に注目すべきは、従来の「知識を身につけること」を中心とした学びから、自ら問いを立てる「探究的な学び」への転換が強調されている点です。

生成AIを使えば知りたい情報にすぐアクセスできます。一方でAIに頼りすぎると、自分で考えたり試行錯誤したりする機会が減ってしまう懸念もあります。

だからこそ、AIの回答を鵜呑みにせず「この情報は正しいのか?」「別の視点はないか?」と批判的に考える力(クリティカルシンキング)が、これまで以上に大切になっています。

教育の現場では、AIを「思考の補助」や「アイデアを広げる道具」として活用しながら、生徒自身が問いを深め、自分の考えを言葉で整理・表現する学びが目指されています。


日常や仕事で「問いを立てる力」を磨くには

問いを立てる力は、特別な訓練がなくても日常の中で少しずつ鍛えることができます。いくつかのヒントをご紹介します。


・「なぜ?」を習慣にする

日常の中で「なぜこうなっているのだろう?」と疑問を持つ習慣をつけることが第一歩です。たとえば、ニュースを見たときに「なぜこの出来事が起きたのか?」「自分の仕事にどう影響するか?」と一歩踏み込んで考えてみる。こうした小さな「なぜ」の積み重ねが、問いを立てる力の土台になります。


・「前提」を疑ってみる

当たり前と思っていることに対して、「本当にそうだろうか?」と問い直してみることも効果的です。たとえば、「この業務はこのやり方で行うもの」という慣習に対して、「なぜこの方法なのか?」「他にもっと良い方法はないか?」と考えることで、改善のきっかけが生まれることがあります。


・AIを「壁打ち相手」として活用する

生成AIに対して「この考えの弱点は何?」「反対意見を出して」と問いかけることで、自分の思考を深めるトレーニングができます。「答えをもらう存在」ではなく、「一緒に考える相手」としてAIを活用することがポイントです。


・書き出して整理する

頭の中にある漠然とした考えを、紙やメモに書き出してみるのも有効です。書くことで思考が整理され、「結局、自分は何を知りたいのか?」「何が分かっていないのか?」という本質的な問いにたどり着きやすくなります。

 

参考資料:OECD ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)2030
参考資料:文部科学省 初等中等教育段階における 生成AIの利活用に関するガイドライン
参考資料:Future of Jobs Report 2025




おわりに

今回は、AI時代における「問いを立てる能力」についてご紹介しました。

国際機関や教育現場でも注目されているように、これからはAIに質問をするだけでなく、自ら課題に気づき、問いを立て、判断や行動につなげていく力がますます重要になっていくのだと感じました。

私自身、問いを立てることは得意ではないので、まずは日常の中で「なぜ?」を増やしながら、少しずつ思考を深めていきたいと思います。

 

rice

執筆者 rice

新潟県新潟市生まれ、蕎麦屋の娘として生まれ育ち、和菓子屋、不動産屋を経験し、INSIGHT LABの新潟ビジョンに共感し、2021年に入社。慣れないIT企業で四苦八苦。2児の母。

 

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