ごきげんよう、Sophyです。
山林火災が相次いで発生するという、痛ましいニュースが連日のように流れています。一度発生すると鎮火するまでに長期間を要する山林火災、今回のブログでは、火災を早期発見するための最新技術や研究について調べてみました。
山林火災の発生原因
山林火災の発生原因は、「自然要因」と「人為的要因」に大きく分けられます。
■自然要因
1.落雷
落雷によって木に火がつき、周囲の山林に延焼するケースがあります。
海外では主要の要因ですが、日本は降水を伴うことが多いので、火災に至りにくい傾向にあります。
2.火山活動
活火山の噴火によって発生する溶岩流や火山弾が山林に延焼することがあります。
3.太陽光の集光
ガラス片や水滴が虫眼鏡のような役割を果たすことで、太陽光が一点に集められ、落ち葉などが発火する可能性があります。あくまで理論上の原因の一つのため、発生することは極めて稀です。
4.乾燥
空気が乾燥することで、落ち葉や枯草の水分が失われます。風が吹くことによって、枯草同士が摩擦して火種が発生するケースがあります。
■人為的要因
1.焚火の不始末
山中で火を使い、その火が完全に消えていないことを要因として延焼します。
2.たばこの不始末
1と同様に、火が完全に消えていないたばこから落ち葉や枯草に燃え移ります。
3.焼き畑・野焼きの管理不足
草木を焼く際に、強風などで火が飛び、周囲の山林に燃え移るケースがあります。
4.放火や悪意のある火遊び
故意に火をつけるケースもあり、犯罪として取り扱われます。
日本での自然現象による発生は稀です。原因としては、「焚火」が最も多く、次いで「火入れ」、「放火(疑いを含む)」、「たばこ」となっており、多くが人の不注意によって発生しているとされるデータが公開されています。
参考:林野庁 山火事予防!!
火災対策とテクノロジー
ここからは、火災の早期発見や消防支援に関する技術や研究を紹介したいと思います。
■人工衛星による監視
NASAの新型観測機器「c-FIRST」は、小型で高性能な赤外線観測装置で、野火の温度や範囲などの詳細データを高解像度でリアルタイムに収集できます。従来の赤外線装置では1000°F(約550℃)以上の高温部分を詳細に観測することが難しく、科学的理解に限界がありましたが、c-FIRSTはそのギャップを埋めることが期待されています。この装置は将来的な衛星搭載を見据えたもので、山火事の研究や防災活動、さらには生態系の回復過程の理解に貢献できる可能性があります。
参考:NASA Uses New Technology to Understand California Wildfires
■高性能カメラの設置とAI活用
Pano AIは、コンピュータビジョン技術とディープラーニングAIを活用して、山火事の兆候をリアルタイムで検知・確認・分類し、関係者に迅速に通知するシステムを提供しています。
高所(丘の上や山頂など)にPanoステーションを設置し、360度の超高精細カメラとAIを使って煙や火災の兆候を検出、自動的に火災監視の関係者に警告を送ります。チーム内で最新情報を共有する機能も持ち、内蔵されたアラート機能やモバイル通知により、最新の画像と火災の位置や進行状況を把握することができます。
参考:Pano
■ドローン活用
日本でも導入を検討する地域が増えてきたドローン、赤外線カメラや可視光カメラを搭載することで煙や熱源を検知することができます。山間部や夜間でもリアルタイムな情報を取得することができ、取得した画像をもとにAI等を連携して火災の広がりを予測、効率的な避難や消火活動に繋げることが期待されています。
京都府京丹後市では、3月10日に林野火災を想定した訓練を実施、ドローンで延焼した部分を空から確認するなどして、いち早く状況を把握し効率的な消化活動を図りたいとしています。
最後に
山林火災は、地形や気象条件によって燃え広がり方が大きく変化し、被害の度合いも異なります。火災が発生しないように対策を講ずることも重要ですが、発生を想定した対策も万全にしたいですね。世界中では様々な研究や技術開発が進められています。その中から最適なものを選択・導入し、活用していくことで「1日でも早く」「1件でも少なく」を実現できることを願います。