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現在の経済状況や景気がわかる!労働力調査について解説

作成者: donut|2023年5月17日

こんにちは、donutです。

ゴールデンウイークもあっという間に過ぎ、5月も後半に差し掛かりました。
寒暖差の激しさに身体が追い付かないところもありますが、来たる夏に向けて
なんとか乗り越えたいところです...

さて今回は、統計調査の一つとして知られる「労働力調査」について触れていきたいと思います。

労働力調査とは?

労働力調査は、「国民の毎月の就業及び不就業の実態を明らかにするための雇用・失業対策等の
基礎資料を得ること」を目的とした、総務省統計局が1947年から実施している雇用統計調査です。

簡単に表すと、「仕事をしている人orしていない人」の状況を把握するために行っています。
労働力調査の基本ともいえる統計法では、報告の義務に関する規定があります。
報告を拒んだり、虚偽の報告を行った場合の罰則の規定も定められているため、
調査対象となった場合は必ず協力しなければならない義務が生じます。

<参考>
労働力調査(総務省統計局HPより)

労働力調査の内容

労働力調査では、全国で毎年約4万世帯がランダムで選出されます。
調査対象となった世帯は、1年目に2か月、2年目の同月に2か月の計4回の調査を行います。
(この流れで調査を行うことで、前月比/前年同月比を正確に把握することができます)

調査方法として、男女別/年齢階級別の就業状態、産業別や職業別の就業者数などを
把握するための事項を毎月「基礎調査票」を用いて調査しています。
また、全4回の調査のうち、4回目には「特定調査票」を追加で配布し、
就業や失業などの状況を詳細に把握するための事項も調査します。

主な調査項目の一例としては以下があります。

 <基礎調査票の場合>
 ・労働者人口はどの程度あるのか
 ・失業率の状況はどうなっているのか。
 ・1週間に仕事をした時間や、1か月間に仕事をした日数
 ・勤め先の事業内容、本人の仕事内容
 ・正規の職員・従業員、パート、アルバイトなどの雇用形態など

 <特定調査票の場合>
 ・仕事時間に関する要望
 ・転職の希望有無
 ・求職期間や就業希望の有無
 ・教育の状況や年間収入など

 

労働力調査で分かることと、その活用例

前述した雇用状況を調査することで、以下の要素が分かります。
これらは、男女別や年齢階級別などの区分ごとでの結果も公表しています。

 ・職業別の就業者数
 ・求職理由別の完全失業率
 ・非労働力人口など

また、現在の経済状況や景気について判断する材料としても活用され、産業別や職業別の
就業者数や、求職理由別の完全失業者数など、就業・失業状況のより詳細な結果も公表しています。

そして、政府が毎月発表している「月例経済報告」において、雇用面の指標として景気分析や
各種白書の作成、雇用失業問題の研究などでも利用されています。
特に、近年では「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた日本の取組みの現状を
確認するための資料としても活用されています。

 <参考>
 ◆月例経済報告(内閣府HPより)

労働力調査の実施方法について

労働力調査は、以下の流れに沿って調査を実施しています。

<大まかな調査の流れ>
①調査対象地域へ調査員が訪問(調査対象月の前月まで)
 →調査対象に選ばれた地域に住む全ての世帯に調査員(※)が
  リーフレットを配布します。
  対象地域に住む世帯把握のため、調査員が各世帯を訪問し、
  世帯主又は代表者の氏名と住所を伺います。
  (この時点ではまだ調査対象世帯として確定していません。)
  (※)調査員は、都道府県知事が任命した地方公務員になります。

②調査対象世帯の確定(調査対象月の上旬~中旬頃)
 →調査対象世帯に選ばれた世帯へ、調査対象となった旨を封書で案内します。
  ※郵送ではなく、調査員が直接手渡しする場合もあります。

③調査票の配布(調査対象月の中旬~下旬)
 →調査員が調査対象世帯へインターネット回答用のログイン情報や、
  調査票等の調査関係書類の配布に伺います。
  ※4回目の調査時(2年目2か月目)のみ「特定調査票」も配布します。

④調査への回答作業(調査対象月の末日)
 →調査関係書類が配布された世帯は、調査開始月の末日現在の状況を
  インターネットで回答するか、調査票へ記入します。
  就業状態は調査開始月の末日までの1週間の状況を回答します。

⑤調査票の回収(調査対象月の翌月1日~3日)
 →調査票の回収のため、調査員が各世帯を訪問します。
  ※事前にインターネットで回答が完了している世帯には訪問しません。

⑥回答状況の確認(調査対象月の翌月上旬)
 →⑤の段階で回答が確認できなかった場合は、
  調査員が回答状況の確認のため、再度訪問します。
  ※この時点で回答が完了していない場合、速やかに回答する必要があります。

⑦調査票の内容確認(調査対象月の翌月中旬)
 →回答内容を調査員で確認し、不明点があれば都道府県の職員もしくは
  調査員が確認の連絡を行います。

⑧結果の公表(調査対象月の翌月末ごろ)
 →回答内容を集計し、統計局のホームページや各メディア等で結果を公表します。

なお、調査票の提出方法は以下の2種類になります。

<主な提出方法>
①調査員からリーフレット等で案内された調査システムへログインして
 電子調査票の入力を行い、インターネット経由で提出する。

②指定された調査用紙へ記入し、後日調査員が自宅へ伺って回収、
 もしくは郵送で提出する。
 ※地域によって担当機関や担当者も異なるため、調査依頼の通知が
  自宅へ届けられた場合は、指定された機関まで確認が必要です。

そして、労働力調査に回答する際には、以下の点に留意しながら行うことも大切です。

 ◎労働力調査は、統計法の定めによって回答する義務があること

 ◎回答者の個人情報は、統計法に則って厳重に保護されること

 ◎労働力調査を謳った「かたり調査」に注意すること
  →前述した調査員は、都道府県知事が発行した「調査員証」を携帯しています。
   調査に伴い、金銭を要求されたり銀行口座やクレジットカード等の
   暗証番号を聞かれたりすることは決してないため、注意が必要です。
   もし、不審に感じた場合は調査員氏名等を確認し、お住まいの都道府県
   (労働力調査担当)もしくは総務省統計局への相談も検討してください。

今回は労働力調査についてご紹介いたしました。

家計調査については馴染みのある調査かと思いますが、労働状況に関する調査も定期的に
行われていることを調査の中で知ることができました。

なお、労働力調査に関連して、統計局で行われている家計調査についても過去のブログ記事で
紹介しています。あわせてご参照いただければ幸いです。

<参考>
家計調査の話

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。