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データを理解したい #5 「数字に惑わされない考え方」

作成者: rice|2026年7月21日

こんにちは、riceです。

データを理解したいシリーズ#4「データの見方とは」では、「比較する」「変化を見る」「分布を見る」という3つの視点から、データをどう捉えるかについてご紹介しました。

今回は、その中で少し触れた「平均の罠」や「グラフの縦軸」の話を深掘りしつつ、新たに「相関と因果の違い」という視点も加え、平均の落とし穴、グラフのマジック、相関と因果の違いという3つの切り口で整理してみたいと思います。



① 平均の落とし穴


平均値は最もよく使われる統計の数字のひとつです。テストの平均点、商品の平均レビュー、業種別の平均年収……私たちの周りにあふれています。

しかし、平均値には大きな弱点があります。それは、「極端に大きい値(または小さい値)の影響を受けやすい」という点です。

たとえば、5人のグループの月収が以下だったとします。

 20万円・20万円・22万円・23万円・500万円

この5人の平均月収は117万円です。でも実際には4人が20〜23万円の範囲に収まっています。「平均117万円のグループ」と言われると、何となく全員が高収入のように聞こえてしまいますが、実態とはかなり異なりますよね。

このように、一部の「外れ値(極端に大きい・小さい値)」が含まれると、平均値だけでは実態を正確につかめなくなります。

このときに役立つのが「中央値(メジアン)」という考え方です。中央値は、データを小さい順に並べたときの「真ん中の値」のことで、外れ値の影響を受けにくいという特徴があります。先ほどの例では、中央値は「22万円」になります。こちらのほうが、5人の実態に近い数字です。

平均値だけを見るのではなく、「中央値と大きく離れていないか?」を確認する習慣が、数字を正しく読む第一歩です。

 

② グラフのマジック

数字を視覚化したグラフは、複雑なデータを一目で伝えられる便利なツールです。しかし、グラフの作り方によって、受け取る印象が大きく変わることがあります。

よくあるのが、「縦軸がゼロから始まっていない」グラフです。

例えば、ある商品の月別売上を折れ線グラフで表示するとします。縦軸を「0」ではなく「950(万円)」から始めた場合、実際には1,000万円から1,050万円への5%の増加でも、グラフ上では線が急激に上昇しているように見えてしまいます。

逆に、縦軸の範囲をとても広く取れば、大きな変化があっても「ほぼ横ばい」に見えさせることもできます。

 

グラフを見るときに意識したいポイントをまとめると、以下のようになります。

・縦軸はゼロ(0)から始まっているか
・縦軸・横軸の単位や目盛りの間隔は適切か
・「〜より」「〜に比べて」など、比較の基準が明確か
・グラフの種類(棒・折れ線・円など)は内容に合っているか


特に棒グラフは、ゼロ基点が基本とされています。ゼロ以外から始まっているグラフを見かけたときは、「実際の変化はどれくらいなのか」を数値で改めて確認してみましょう。

 

③ 相関と因果の違い


「○○と△△には高い相関がある」という表現を聞いたことはありますか?

相関とは、2つのデータが連動して動く傾向があることを指します。一方が増えると、もう一方も増える(または減る)という関係です。

しかし、「相関がある=原因と結果の関係(因果関係)がある」とは限りません。これは、データを読むうえで非常に重要なポイントです。

有名な例として、「アイスクリームの売上」と「水難事故の件数」があります。この2つのデータを見ると、高い正の相関が確認できます。つまり「アイスが売れるほど水難事故が多い」というデータ上の事実があります。

では、「アイスを食べると水難事故が増える」のでしょうか?

もちろん、そんなことはありません。この2つを同時に動かしているのは「気温(夏であること)」という第三の要因です。気温が上がるとアイスも売れ、水遊びをする人も増える。だから、見かけ上この2つが連動しているように見えるだけです。

このような現象を「疑似相関」と呼びます。

相関と因果を混同してしまうと、ビジネスや政策の場では「見当違いな対策」につながることもあります。

データを見るときに心がけたいのは、以下の問いを持つことです。

・この2つが連動しているのは、第三の要因(共通の原因)があるからでは?
・「一緒に増えている」だけで、どちらかがどちらかの原因とは言い切れないのでは?
・本当に因果関係があるかどうかを確かめるには、どんな検証が必要か?

「相関はあくまでヒント。因果を確かめるには、さらなる検証が必要」という姿勢が、データリテラシー(データを正しく読む力)の基本です。


数字を「疑う目」を持つということ


「数字を疑う」というと、少し冷たい印象があるかもしれません。でも、ここで大切なのは「すべての数字を信じるな」ということではなく、「数字をそのまま受け取るのではなく、背景や文脈とあわせて読もう」ということです。

・この平均値は中央値と近いか?
・このグラフの軸は正しく設定されているか?
・この相関は本当に因果を意味するのか?

こうした問いをちょっとだけ持つようにするだけで、ニュースや資料の数字がぐっと立体的に見えてくるようになると思います。


おわりに

今回は「数字に惑わされないための考え方」として、平均の落とし穴・グラフのマジック・相関と因果の違いの3つの視点で整理しました。

統計や数字は、使い方次第でとても分かりやすく物事を伝えてくれます。だからこそ、受け取る側も少しだけ「背景を見る目」を持っておくことが大切です。


次回以降も引き続きデータに関するテーマをご紹介していけたらと思います。

 

参考資料:総務省統計局「なるほど統計学園 5 特徴を捉える
参考資料:総務省統計局「なるほど統計学園 4 グラフの作り方(初級編)」
参考資料:総務省統計局 なるほど統計学園 散布図