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「従業員の学び直し」が企業のDX推進を左右する?「リスキリング」について解説

作成者: donut|2022年12月21日

こんにちは、donutです。

大いに盛り上がったワールドカップカタール大会もアルゼンチンの36年ぶりの優勝で終わり、
あっという間に年末年始の足音が近づいてきました。
現在はクリスマスムード一色ですが、お正月の気配も仄かに感じつつあります。

さて今回は、DX(デジタルトランスフォーメーション)と関係の深い「リスキリング」について
調査したいと思います。

リスキリングとは?

リスキリングは、「技能再教育(学び直し)」という意味であり、企業が従業員に対して
新しい技能の教育機会を提供することを示しています。

リスキリングは、英語の「re-skilling」を意味しており、直訳すると「スキル向上を繰り返す」、
和訳すると「学び直し」です。
2021年頃から注目されているキーワードで、「リスキル」や「アップスキリング」と同じ意味で
使われています。DXによって必要となる新しい業務を外部へ発注するだけでなく、
社内でもデジタル化の意義を知り、人材を育てることが重要だという考え方になります。

現在の業務を継続する上で技術や能力を向上させる「研修」とは異なり、
新たな会社や別の部署へ異動することを前提に、デジタル技術を始めとした
新たな価値を生み出すスキルを習得し、必要な人材を確保する目的として
行われる取り組みが「リスキリング」す。

海外では既にリスキリングを推進している企業が多く、注目度も高まっています。
日本の場合、DX推進に積極的な企業ほどリスキリングを重視している一方、DX推進に
消極的な企業ではあまり行われていないのが現状です。

<参考>
「リスキリング」デジタル時代の人材戦略(NHKより)

リスキリングが必要な理由(わけ)とメリット・デメリット

リスキリングが注目を集める理由については、主に以下が挙げられます。

  ①DXの推進及びデジタル人材不足の解消
   →昨今のDX推進により、人々がよりよい生活を確保するために
    デジタルテクノロジーを活用した新たな市場の開発が企業に
    求められています。
    しかし、デジタルに精通している人材が少ないといった現状もあり、
    人材確保や育成に時間を要してしまう等、デジタル人材不足に悩まされている
    企業も存在します。
    このため、リスキリングを活用して既存の従業員に最先端の技術を教示し、
    ITのノウハウが取得できれば、環境変化に適応することが可能となります。
    日々変化するデジタルテクノロジーに対して、柔軟に対応するために
    リスキリングで市場の拡大に取り組む必要があります。

  ②新型コロナウィルスの流行に伴う働き方の変化
   →コロナウィルスの流行により、テレワークやオンラインを活用した顧客との
    やり取りなど、既存の働き方では対応できないケースも増加しました。
    この影響で人手が不要になった職種も存在するため、従業員自身も活躍の場を
    自ら模索していく必要があります。
    そのため、新たな事業戦略の一つとして必要なリスキリングの推進が
    コロナ禍によって企業に求められています。

そんなリスキリングですが、以下のメリット・デメリットもあります。

 <メリット>
 ①人材不足への対応が可能
  →ここ数年で急速に発展したデジタル化により、便利になった一方で
   企業の悩みの種になってしまったものもあります。デジタルテクノロジーに   
   精通している人材は外部から雇うのが一般的ですが、応募をかけ、
   雇用に至るまでに期間が空いてしまう場合もあります。
   このような人材不足の解消のため、企業の従業員にスキルを習得してもらい、
   人材不足を補うリスキリングが有効に活用されています。スキルアップを
   行うことで社員のモチベーション維持にも繋がり、企業としても能力向上が
   期待できます。

  ②人材育成及び業務効率の向上
   →リスキリングが主流になると、社員自らスキルを習得するといった
    意識改革が生まれ、「自分で考えて行動する」という自律型人材が
    社内に増えることが期待されます。
    また、スキル習得によって視野が広がった社員からは新たなアイデアが
    生まれ、今まで行っていた業務を、習得したスキルを駆使して効率化できる
    可能性が見込まれます。業務効率が向上することで、ワークライフバランスが
    取りやすくなり、働きやすい環境に整っていくこともメリットになり得ます。

 <デメリット>
 ①スキル取得に伴う従業員の転職リスク
  →リスキリングの推進によって、従業員は新たなスキルや技術を習得し、
   自社の製品開発や業務遂行に貢献することができます。   
   しかし、新たなスキルを得て可能性が広がった従業員は、
   そのスキルを生かせる職場やより待遇の良い企業への転職を検討する
   可能性もあります。
   もし、従業員を雇用する企業で適切な対応ができていない場合、
   優秀な人材が流出してしまう...といったリスクも考えられます。
   別部署への異動提案はもちろん、待遇の見直し等を事前に従業員と共有し、
   認識を合わせておくことで、リスキリング後も自社で活躍してくれる可能性が
   期待されるでしょう。

 ②継続的に取り組むことにより、時間と手間がかかってしまう
  →リスキリングを実施するためには、時間やコストがかかってしまいます。
   習得対象のスキルや従業員の選定・調整作業に加え、外部での研修費用や
   資格取得費用の補助や書籍購入等でも事前に予算の確保が必要になってきます。
   そのため、リスキリングに活用できる人材や金銭コストを予め確保した上で、
   効果的なリスキリングを実施する必要があります。

リスキリングを効率的に推進する方法

企業でリスキリングを推進するにあたり、どのように取り組めばよいのでしょうか。
主な方法としては以下があります。

 ①自社に必要なスキルと人材像を明確にする
  →企業の経営戦略において、人材の絞り込みや習得対象のスキルを
   選定してみましょう。
   今後の企業展開を見据え、リスキリングでどのようなスキルを従業員に
   取得してほしいのか明確にすることで推進の際に役立てることができます。

 ②リスキリングで習得したスキルを業務で積極的に活用する
  →「必要なスキルは習得できたのでもう大丈夫」で終わってしまうと
   非常にもったいないですね。
   企業において実際に活用できる環境を設けることで、スキルを習得した
   従業員が力を発揮しやすくなります。
   また、人事異動や勤務形態の変更など柔軟な対応も検討すると良いでしょう。

なお、リスキリングは日立製作所や富士通など、大手企業を中心に積極的な導入が行われています。以下のサイトにおいて各企業の導入事例をご紹介していますので、あわせてお読み頂くことで
リスキリングに対するイメージがより可視化しやすくなると思います。

<参考>
リスキリング事例25社 | 国内有名企業がDX人材育成に向けて導入する研修とは

今回はリスキリングについてご紹介いたしました。
従業員は通常の業務を行いながら新しいスキルを習得する仕組みになるため、
企業で導入する際は、従業員が取り組みやすい環境やアフターケアも重要になってきます。
また、国や地方自治体とも連携し、リスキリングを推進するためのノウハウを企業へ
展開することも重要になると感じました。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。