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迫る2025年の崖問題、DX推進のために企業ができることは?

作成者: donut|2023年9月20日

こんにちは、donutです。

あっという間に9月も後半に差し掛かり、朝晩には涼しさも感じる季節になってきました。
新潟県では先日約1ヵ月ぶりの雨も観測し、酷暑で茹だった新潟の地にようやく恵みの雨を
もたらしてくれたな...と感じています。

さて今回は、弊社の強みでもある「DX」とこれに関連した「2025年の崖問題」について、
コロナ禍を経た現在のDXの状況も含めて改めて調べていきたいと思います。

2023年のDX推進状況は?

DX推進状況については、毎年「DX白書」で取りまとめられています。
DX白書とは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)がDXに関する情報をまとめている書籍です。
こちらは毎年刊行されており、国内外の企業のDXの推進状況や戦略など、DX関連の情報が詳しく
掲載されています。

大まかではありますが、内容を確認した範囲では以下の印象がありました。

・DXに取り組む日本企業の数は、2022年では約70%前後に増加しており、
 アメリカの77.9%に徐々に近づきつつある。

・DXに取り組む業界で割合が高いのは「金融業、保険業」「情報通信業」であり、
 逆に最も低い業界は「サービス業」だった。
 特に、製造業は日米差が顕著に出ており、「DXに取り組んでいない」と回答した
 企業は約3割前後で、全社的に見てもDXに取り組む企業は6割にも満たない状況。

・IT分野に見識のある役員の割合が低い傾向や、CDO(※)が不在であること、
 専門部署の有無や予算などが継続的に確保されていないことなども、
 日本のDX推進に影響を及ぼしている可能性も考えられる。
 (※)デジタル部門における最高責任者です。

<参考>
DX白書2023(IPAより)
 ※PDF版のダウンロードも可能です。

DX白書では、日本企業のDXの現状や課題がとても分かりやすく解説されていましたが、
業界によってはDX自体が発展途上な部分もあり、DX実現には様々な課題があることが現状です。

「2025年の崖」問題とは

皆さんは「2025年の崖」問題をご存じでしょうか?
経済産業省が2018年に発出した「DXレポート」に記載されているワードであり、
DX推進に向けて現在の日本が抱える深刻な課題について提示しています。

主な内容としては以下になります。

・2025年のみならず、2025年以降も含めてDX推進を実現できなかった場合に
 生じると想定される経済的損失を表している。

・企業が持つシステムの維持管理費が高騰し、その脆弱性を突かれたことによる
 サイバーセキュリティに関連した事件/事故/災害等に起因したデータ損失が
 発生することで、最大で12兆円にものぼる巨額の損失が発生する恐れがある。

 ※2023年度のデジタル国家予算が約1.2兆円であることを比較しても、
  12兆円は莫大な損失であることがわかります。

<参考>
2023年度デジタル予算は微減の1.2兆円、デジタル庁の一括計上は200億円増

・少子高齢化に伴う労働人口の減少、ITスキルやノウハウの蓄積不足により、
 DX推進に不可欠な人材やIT人材確保が困難となる。
 また、社員を対象としたリスキリングを行う場合、ITスキル等がなければ
 リスキリング用のカリキュラム作成も難しくなるため、DX推進に適した人材が
 不足する...という悪循環が発生してしまう恐れがある。

※リスキリングについては過去のブログ記事でも紹介していますのであわせてご覧ください。

<参考(過去ブログより)>
「従業員の学び直し」が企業のDX推進を左右する?「リスキリング」について解説

「DXの実現に成功することで、企業として優位性を確立できる!」だけではありません。
万が一成功できなかった場合、企業が市場地位を喪失してしまうリスクも負いかねないため、
DX推進は企業にとって重要な意味を持ち合わせています。

なお、2025年問題については、経済産業省でも以下のDXレポートで取りまとめています。

<参考>
DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(経済産業省より)

日本企業のDX推進を促す施策は?

DXに渦巻く問題に対処すべく、経済産業省やIPAでは様々な施策を行っています。

①DX銘柄・DXセレクション企業の選定

 「DX銘柄」は、DXに取り組む企業を対象に経済産業省と東京証券取引所が
 選定する取り組みです。企業価値の向上につながるDXを推進できる仕組みを構築し、
 貢献した企業を公表することで、DX推進を後押しすることを目的としています。
 また、選定企業の中から注目すべき取り組みを行っている企業を
 「デジタルトランスフォーメーション注目企業」として、
 「デジタル時代を先導する企業」を「DXグランプリ」に選出しています。

 「DXセレクション企業」は、中堅/中小企業を対象にモデルケースとなる事例を
 選定することで、中堅/中小企業等でのDX推進とあわせて各地域の取組みの活性化に
 つなげていくことを目的としています。

<参考>
デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)(経済産業省より)
DXセレクション(中堅・中小企業等のDX優良事例選定)(経済産業省より)

②デジタルガバナンス・コードの策定と活用推奨

 デジタルガバナンス・コードは、「Society5.0(※)」に向けて企業価値向上のために
 実践すべき事柄になります。
 (※)現実空間と仮想空間を融合させたシステムによって、社会的課題の解決と
   経済発展を両立させるための新たな社会を意味します。
 対象企業は、企業規模や法人/個人事業主といった形態を問わない一般事業者です。

 デジタルガバナンス・コードは、以下の4つの柱で構成されています。
 ◎ビジョン・ビジネスモデル
 ◎戦略
  ・組織づくり・人材・企業文化に関する方策
  ・ITシステム/デジタル技術活用環境の整備に関する方策)
 ◎成果と重要な成果指標
 ◎ガバナンスシステム

<参考>
デジタルガバナンス・コード(経済産業省より)

DX実現のために企業でできることとは

「DX実現と2025年の崖問題に対処すべきであることは分かっているけれど、何をすればよいのか
よく分からない...」という方もいらっしゃると思います。
DXの方針を明確化するために、企業ができることは主に以下になります。

①他企業や業界で行っているDXの事例を参考にする
 最初に「DX実現のためにどんなことを行っているのか?」といったイメージを
 掴むためにも、自社が所属する業界を対象にDXの事例を把握することが重要です。

②DXの事例から「自社に応用できそうな施策」を検討してみる
 業界事例を確認の上「自社では何ができるか?」を検討することも有効な方法です。
 自社の強みや弱みを把握し、デジタル化の方向性を見つけることができます。
 また、自社のビジネスモデルやデジタル技術をどのように活用するのか、方向性を考えられるでしょう。

 

今回は、2025年問題を始めとしたDX推進についてご紹介しました。

DXを推進の過程では、技術的な問題や組織の課題など、様々な困難が生じることがあります。
特に、今回調査した中でも「まず何から取り組む必要があるのか?」が分からなくなることが
多い印象がありました。

各業界で取り組んでいるDXの事例について調査をすることも有効ですが、長期的な計画だからこそ、
改めてDXの意義について考えてみることも良いかもしれませんね。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。