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【IT】ジオパトリエーション|データを守る新しい戦略

作成者: Sophy|2026年4月09日

ごきげんよう、Sophyです。

桜も満開になり、暖かい日が増えてきましたね!3月は駆け足で過ぎていきましたが、4月はどんな月になるでしょう。

さて、今回のブログは【ジオパトリエーション】について調べてみました。初めて聞くワードなのでワクワクしながら書いていきたいと思います!!

はじめに

自社のデータがどこのサーバーに保存されているかをご存じですか?
もしかしたら、アメリカかもしれないし、ヨーロッパかもしれない、あるいは、、、?これまでのクラウドサービスは「どこでも安く使える」というメリットだけで選択されてきましたが、今、その「どこでも」という前提が、世界中の企業にとって大きなリスクになりつつあるようです。

そのリスクに対処するための新しいIT戦略を【ジオパトリエーション(Geopatriation)】と言います。Gartnerが発表した「2026年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド」の一つに選ばれ注目を集めています。

 

ジオパトリエーションとは?

ジオパトリエーションとは、企業がクラウド上のデータやシステムを地理的・政治的に安全な場所へ意図的に移す戦略のことです。

「geo(地理)」と「repatriation(本国送還)」を組み合わせた造語で、コスト削減や利便性のためではなく、”政治的安全性を最優先する”という目的をもってデータを移行させるのが特徴です。


具体的には次のような動きを指します。

  • 外資系の大手クラウドから日本国内のクラウドへ移行する

  • 国や政府機関が管理する「ソブリンクラウド(※)」を採用する

  • 地域ごとのデータ保護法・規制に準拠したインフラを整備する などなど


ソブリンクラウドとは?

ジオパトリエーションを語る上で欠かせないのが、ソブリンクラウド(Sovereign Cloud)です。

ソブリン(Sovereign)とは「主権」を意味する単語で、特定の国や地域に限定し、その地域の法規制に基づいてデータを保存・運営・管理するクラウドサービスのことです。


単にサーバーが国内にあるだけではなく、以下の3つが揃うことで条件を満たします。

  1. データの自立(Data Sovereignty)
    ータが物理的に国内にあり、国政府からの開示請求を法的に拒否できること

  2. 運用の自立(Operational Sovereignty)
    クラウドの運用・保守を担うスタッフがその国の居住者であること、かつ外部からの不正なアクセスや操作を物理的・組織的に遮断できること

  3. 技術の自立(Software Sovereignty)
    特定の海外ベンダーに依存しすぎず、供給が停止されてもシステムを維持・移行できる

国内においても外資系ベンダーと提携しつつ、日本独自の運用ルールを加えたソブリンクラウドが展開されているようです。

 

なぜ重要とされている?

主な理由には、「地政学リスク」と「法規則の強化」があると言われています。

  • データ主権の確保
    国外のクラウドプロバイダーを利用する場合、データセンターの物理的な場所が日本国内であっても、運営会社の母国の法律が適用され、データの開示を強制されるリスクが存在します。そのため、金融や公的機関で扱う重要なデータは自国の法律の下で守ることが求められています。

  • 地政学的リスクの回避
    外交的な対立等による突然のサービスス遮断が発生するリスクが考えられます。リスクに備え、データやインフラを国内に確保しておくことが求められています。 

  • AIの台頭
    AIの普及に伴い、その学習には膨大なデータが必要とされています。自国の文化や産業的データを外国のモデルに無断で使われることへの危機感から、特定の地域においては独自のLLM構築に乗り出しています。

 

日本国内の動き

日本政府やデジタル庁においても、「データ主権」や「経済安全保障」という文脈で、様々な施策が講じられています。

  1. ガバメントクラウドとして「国産クラウド」を採択

    ガバメントクラウドとは、デジタル庁が進める政府共通のクラウドサービスの利用環境です。
    これまでは外資系のクラウドサービスが中心でしたが、2026年3月27日に国内事業者が採択されたことを発表しました。

    参考:令和8年度募集分ガバメントクラウド対象クラウドサービス

  2. 経済安全保障推進法

    電気・金融・通信など14分野が重要インフラに指定されており、この重要インフラに関わるシステム導入においては、サプライチェーンのリスクなどが厳格に審査されています。

  3. 国内データセンターの地方分散

    特定の国や地域への過度な依存への懸念から、国内で安定的にデータを管理する体制を強化しています。2023年時点では、国内データセンターの約9割が関東・関西に立地しています。総務省では、データセンターの分散立地等を推進するべく、令和3年度補正予算より「デジタルインフラ整備基金」を設置し、地方立地を行う民間事業者の支援を行っています。

    参考:進展するデジタルがもたらす課題

 

最後に

これまでは「クラウドならどこでも同じ?」と思われていたかもしれませんが、これからは「日本国内で、日本の法律の下で運用される」ことが、信頼の証となり価値になりそうですね。

ただ、スケールメリットのある外資系クラウドと比較すると、コストは2倍近く跳ね上がることが予想されます。一概にすべてのデータを国内に集めなければいけないと考えるのではなく、まずは、データの重要度に応じてクラウドサービスを選択し、費用投資を上手にできると良いですね。