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【AI】進化するフィジカルAI-ロボット技術とその可能性-

作成者: rice|2026年2月01日

こんにちは、riceです。

近年のロボット技術の進化は目覚ましく、単なる自動化を超えた「フィジカルAI」が注目されています。そこで今回は、フィジカルAIとは何か、従来のロボットとの違いや注目される背景などを調査してみました。


フィジカルAIとは

フィジカルAIとは、人工知能(AI)の「知能」と、ロボットなどの「身体」を組み合わせ、現実世界で自律的に「認識・判断・行動」を行えるようにした技術です。ソフトウェア上で完結するAIとは異なり、ロボットや機械といった"身体(フィジカル)"を持ち、実際の環境に直接働きかける点が大きな特徴です。


従来のロボットとの違い

従来のロボットとフィジカルAIの最大の違いは、「あらかじめ決められた動きを繰り返す機械」か、「自ら環境を理解し、学習して適応する自律的な知能」かという点です。

主な違いを具体的に見ていきましょう。

「固定的な指示」「リアルタイムの適応」

  • 従来のロボット:人が事前に作成したプログラムを正確に繰り返す仕組みのため、想定外の状況(障害物の出現や対象物の位置ずれなど)に直面すると、動作が停止してしまうことがあります。
  • フィジカルAI:センサーを通じて現実世界の状況をリアルタイムで感知・理解し、自ら推論して行動を決定します。状況が変化しても、その場で判断して行動を最適化できる「自律性」を備えています。



「再プログラミング」「経験による学習」

  • 従来のロボット:扱う製品やタスクが変わるたびにプログラマーがコードを書き換える必要があり、その間ロボットは停止しなければなりません。
  • フィジカルAI:強化学習(※)や模倣学習(※)といった学習手法を通じて、自らスキルを身につけます。例えば、扱う部品の素材が金属からプラスチックに変わった場合でも、再度プログラミングせずに、つかむ力を自動的に調整することが可能です。

※強化学習:行動の結果に応じた報酬(行動の結果が良かったか悪かったかを示すスコア)をもとに、最適な行動を試行錯誤しながら学習する仕組み
※模倣学習:人間などの熟練者の動作データをお手本にして、AIがその振る舞いを学ぶ手法


「位置制御」「力加減まで考える柔軟な制御」

  • 従来のロボット:あらかじめ指定された座標(位置)を正確に動く「位置制御」が中心です。工場の溶接や加工などには向いていますが、人間のような柔軟な動きや繊細な作業は苦手です。
  • フィジカルAI:視覚・言語・行動を統合したモデル(VLAモデルなど)を活用し、人間のような柔軟な力加減を実現します。「壊れやすいから優しく持って」といった曖昧な指示を理解し、適切な行動に変換できます。

 

フィジカルAIが注目される背景


フィジカルAIが注目される背景はいくつかありますが、こちらでは技術進化と社会課題についてみていきます。

  • 技術の進化

- VLAモデル(視覚-言語-行動モデル)の登場
視覚情報と言語による指示を、直接ロボットの「行動」に結びつける技術が進展しました。これにより、従来は難しかった曖昧な指示への対応が可能になっています。

- 強化学習や模倣学習といった学習技術の進歩
現実世界でロボットに学習させるのは時間やコスト、破損リスクが課題でした。そこで、仮想空間で何百万回もの試行錯誤を行ってから実機に反映するする技術が進展しています。

また模倣学習の進化により、布を畳むといった、従来のプログラミングでは記述が困難だった柔軟な動作も実現されつつあります。


  • 深刻な労働力不足

日本を含む先進国では深刻な労働力不足に直面しています。特に物流・製造・医療・建設などでの人材確保が難しく、業務の継続自体が課題となっているケースもみられます。ロボットに置き換えられている業務もありますが、従来のロボットは「決められた場所で、決められた動き」を繰り返す限定的なもので、導入できる現場が限られていました。
ですがフィジカルAIは、複雑で変化の多い環境に適応できるため、多様な分野での活用が期待されています。


活用事例と今後活用が期待される例

 

<物流> 
自動ピッキング:物流倉庫で、形状や重さが異なる商品をAIで認識し、つかみ取るシステムが実用化されています。
参考:Mujin ロボット導入事例

<製造>
自動車製造:BMWでは、従来の産業ロボットが苦手とする精密な操作や、両手での調整が必要な工程にヒューマノイドロボットを試験導入しています。

<建設・インフラ>
インフラ点検:ドローンによる橋梁や路面の自動点検により、人が行う危険な状況での作業を回避できる例も出てきています。

今後の活用が期待される例


高度な医療アシスタント
患者ごとに異なる体の状態に対応できる外科手術支援ロボットの研究が進められています。

インフラ保守作業
現在はドローンによる点検が主ですが、将来的には高電圧の送電網やガス管の修理など、危険を伴う修理作業をロボットが担うことが期待されています。

ヒューマノイドによる家事支援
掃除や洗濯、食事の準備といった複雑な家庭内の作業への活用が期待されています。


参考資料:Physical AI and humanoid robots | Deloitte Insights

参考資料:科学技術未来戦略ワークショップ報告書

 


おわりに

今回の調査を通じて、ロボット技術の進化と可能性に驚きました。
まだ研究や実証段階にある技術は多いようですが、フィジカルAIは今後「人を支えてくれる存在」として、私たちの身近な場面でも活用される機会が訪れそうですね。
技術の進展とともに、これまでの働き方や暮らしがどのように変化していくのか、今後の展開に注目したいと思います。